一般相対性理論の応用

【GPS】
自動車などの位置をリアルタイムに測定表示するカーナビゲーションシステムはグローバル・ポジショニング・システム(GPS)を利用しており、GPS衛星から発振される時計信号の正確さに依存している。
GPS衛星からの信号を受信する装置では、さまざまな要因による補正を行うが、その中には、高速で運動するGPS衛星の運動による発振信号の時間の遅れ(特殊相対論効果)と、地球の重力場による地上の時間の遅れ=衛星の時間の進み(一般相対論効果)が含まれる。
GPS衛星の速度は秒速約4kmと高速であるため、特殊相対論によって時間の進み方が遅くなる。一方、衛星の高度は約2万kmで地球の重力場の影響が小さいことから、一般相対論によって地上よりも時間の進み方が速くなる。このように特殊相対論と一般相対論で互いに逆の効果をもたらすことになる。
これらの誤差はいずれも100億分の1のオーダーであり、結果的に衛星の時計の進み方のほうが1日あたり約0.00004秒だけ速くなる。仮にこれを考慮せずに運用したとすると、位置情報は1日ごとに12km(光が0.00004秒に進む距離)ずつ誤差が増加してゆき、すぐに使い物にならなくなってしまう。このため、GPS衛星の時計は、地上の時計の遅れを補正するためにわざと遅く進むように設計されている。
逆に言えば、一般/特殊相対論が知られていない状態でロケット技術が発達してGPS衛星が打ち上げられた世界を想定すると、その測定結果から相対論を発見する手がかりが見つかるということになったかも知れない。